まだ見ぬ遠いふるさとを


どこに行っても
懐かしむ
まだ見ぬ遠い
ふるさとのこと

特別厚い毛布もなく
特別豪華な食事もなく
ただ そこには
やさしい風がふいていて
やさしいささやき きこえてくる

おはよう 今日も
いい天気だね
おやすみ 小雨が
降ってきたね

大きな声を出す人もなく
無言をつらぬく人もなく
ただ そこには
さやかな小川が流れてて
静かなうた きこえてくる

夕顔の 白い花が
咲いてたね
やあ 山が
日に日に紅く
染まってゆくね

まだ見ぬ遠いふるさとに
いつも思いを馳せている

熱く流れる涙でもなく
あふれこぼるる 笑顔でもなく
ただただ ほのかに
ふっと瞳を閉じたまま

ただ そこには
やさしい風がふいていて
枯れ葉がときおり舞っている

流れる言葉より先に
もれ落つ嘆きより先に
わたしはあなたを
恋い慕う

どこにいたって
懐かしむ
いつかかえる
ふるさとのこと



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(C) 2001 脇素子 (WAKI Motoko)