うさぎ


もしもわたしが うさぎなら
原っぱに つれてって
わたし はねて
あお草 風に揺れる
そのずっとずっと先まで
はねってって
そして いつか
振りかえるから
だから あなた
見ていてね
どんなに遠く
わたし はねても
必ずあなたの
視線の先に
わたし いるから
だから きっと
見ていてね


わたしがうさぎで お腹すいたら
にんじん ちょうだい
わたし 急いで
しっぽから かじって
あっという間に 食べちゃうから
だから あなた
待っててね
全部は食べずに
少しあなたに
にんじんの上の方
残しておくから
だから そっと
待っていてね
白い両手で わたし
口をふいてしまうまで


夜はあなたのまくらの横で
寝ずの番をするから
もしもわたしがうさぎなら
どうぞ おそばに 置いて
そしてたまに
耳を なでてね
夜風があなたに あたらぬように
わたしきっと 番をするから
だから あなた
わたしのこと
おそばに 置いてね
あなたがお出掛けするときは
後ろからはねてって
きっとすぐに追いつくから
だから だから



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(C) 2001 脇素子 (WAKI Motoko)